今も発病者が出る結核。決して過去の病いではないという事実
結核って、かつては「国民病」とか「死の病い」と言われていました。
小説や映画などでも結核にかかった人が悲惨な状況に追い込まれるという設定が多く表されていましたね。
結核が原因で若くして亡くなった主な有名人を拾ってみると、
滝廉太郎(没年:23歳)
樋口一葉(没年:24歳)
石川啄木(没年:26歳)
高杉晋作(没年:27歳)
新美南吉(没年:29歳)
吉田松陰(没年:29歳)
本当に惜しいことです。
また、結核は伝染病であることから、世間の偏見にさらされて辛い試練にあっていたことも事実です。
その結核も治療方法が確立されたことから、もはや過去の病気といった感が強かったのですが、ここにきてまたもや注目され始めました。
目 次
2018年の調べでは、日本国内で新たに結核を発症する人が、1万8000人もいることが分かっています。
そして、結核による年間の死亡者が200人に達していることも判明しています。
これは結核菌が生きていて、結核が「過去の病い」ではないことを物語っています。
結核とは
結核とは「結核菌」という細菌が直接の原因となって起こる病気で、結核菌が起こす「 おでき」のようなものと考えていいでしょう。最初は炎症から始まります。
結核菌は肺に巣食うことが多いのですが、 人体のいろいろなところ(臓器)にも病気を起こします。
初期の炎症が進むと、やがて「化膿」に似て組織が死んで腐ったような状態になり ます。この状態の時期が肺結核ではかなり長く続き、レントゲンなどに写る影の大半がこ の状態の病巣です。
その後死んだ組織がどろどろにとけて、気管支を通して肺の外に排出 されると、そこは穴のあいた状態になります。これが空洞です
このような病巣からの菌が肺の他の場所に飛び火したり、またリンパや血液の流れに乗ったりして、他の臓器に結核の出店を作ることもあります。 こうして結核は肺全体、全身に広がって行きます。
そして最後には肺の組織が破壊されて呼吸が困難になるとか、 他の臓器の機能が冒されるとかして生命の危機を招くことになります。
結核の初期症状とは
初期には風邪の症状に似ています。
咳や微熱、体のダルさといった症状が出ます。
しかし、次のような症状が長引けば医師の受診が必要です。
・痰のからむ咳が2週間以上続く
・体重が減少する(高齢者では老化現象と間違いやすい)
結核菌が体内に入ると結核になってしまうのか?
いいえ、そうとも限りません。
実は、結核を発病しない人もいるのです。
つまり、結核菌を吸ったのは事実であっても、のどで消えてしまえば発症しません。
何よりも怖いのは、自分が結核患者であることを自覚しないまま
他人に感染させてしまうことです。
発症のメカニズム
結核菌に感染
結核菌が活動を開始
↓
結核菌が増殖する
↓
結核菌によって体の組織が侵される
どんな人が結核を発症しやすいのか
次のような人が挙げられます。
・乳幼児
・高齢者
・免疫力が落ちている人
大きな手術を経験した人
栄養状態が悪い人
HIV感染者
慢性疾患の治療を中断している人
結核の治療とは
主治医の指示で、3~4種類の薬を半年間飲み続けます。
治療薬は医師の指導通りに、正しく服用することが大切です。
治療を途中で中断してしまうと、薬が効かない耐性菌になってしまうので要注意。
治療には医療費の助成制度があるので、役所で聞きましょう。
結核にならないための注意
大切なことは「早期発見」「即治療」です。
そのためには職場や自治体で行われる検診に参加することが肝要です。
こんなことにも配慮しましょう。
・禁煙
・栄養の行き届いた食事を、規則正しく摂る
・良質な睡眠時間の確保(時間、質ともに)
・疲労を残さない
・適度の運動を欠かさない
・ストレスを発散させる
結核をなくする施策
結核対策の基礎は、
感染→発病→感染という連鎖を断ち切ることです。
そのために次のような手だてが必要です。
・BCG接種:
感染を受けても発病しないように免疫をつける。
主として子供に行われます。
・患者の発見:
健康診断や医療機関の受診。
・化学予防:
感染を受けたことが分かった人に、発病を防ぐために薬をのませる。
・治療:
発見した患者を化学療法で治し、感染源にならないように事後の保健指導を続ける。
結核は正しく治療すれば
完治できる病気です。
参考サイト
https://jata.or.jp/rit/rj/kiso.htm